wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

林博史『米軍基地の歴史』

通史および人類の歴史の増補のために購入し水曜日に読了した電車読書の備忘。米軍基地の歴史的展開をまとめたもの。2010年段階の基地面積と駐留軍人数でドイツが首位、日本がそれにつぐこと。これは冷戦の最前線という理由以外に、世界各地の反対運動で撤去されたものが受け入れられたため(フランコ独裁期のスペインも重要な受け入れ国だったらしい)。インド洋のディエゴガルシアがイギリス領植民地から世界に植民地を持たないアメリカのために基地提供され、現地住民を他の島に追い出して独立運動が起こらないようにして基地が維持されていること。1950年代の日本本土における基地面積の縮小と沖縄の基地拡大の鮮やかな対比。米兵が性病に感染するとその施設を米軍がオフリミッツにすることで、受け入れ側に性病管理をさせるという、旧日本軍の「従軍慰安婦」制度を遙かに洗練させたシステムが構築されていたこと。駐留兵の刑事事件の裁判権のあり方における人種別対比。世界各国において政権交代時に米英仏露軍の基地撤去が多数発生しているのに対して2009年日本の余りにもふがいなさなど、いろいろ知ることがあり有益で、講義に取り入れたいところhttp://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b94779.html。この間に来年度のシラバス提出が求められるようになっているが、年々受講者への要求が大きくなっている。本当は予習も復習もいらないので講義時間だけはまじめに取り組んでほしいと書きたいところなのだが・・・。