wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

龍谷ミュージアム『混一疆理歴代国都之図と古地図展』

昨日は中国・西洋食文化史についていろいろ勉強させてもらい充実感を味わったと思っていたら、今朝からどんよりする電話。前向きの展望は全くないが、後ろ向きの期待だけは背負わされている現実に呼び戻される。何とか気を取り直して午後の考古学のお勉強の前に表題の博物館展示のため京都に向かう。以前訪れた際にたまたまチラシを見かけ、明日まで二日間だけ現物が展示されるという情報を得たため思い立ったものhttp://museum.ryukoku.ac.jp/news/detail.php?id=4522。この業界では著名になったモンゴル時代に製作されたとされるユーラシア大陸図で、本図は朝鮮で1470年代以降に成立した改訂版で、「明治時代に朝鮮から将来され」西本願寺が所蔵していたものということ。別のところで紹介されていた長崎県本光寺本とは異なり、朝鮮半島の南岸に接して対馬島が描かれ、日本列島の位置と向も異なり、琉球が明確に見られないなどの相違があり、モンゴル時代の原図を増補する際に複数のパターンがあったことが知られ興味深い。ただしガラスケースが遠すぎて文字の判読が困難だったのは残念。また近世の版本から拾芥抄日本図が展示されていたが、瀬戸内海に多数の島が描かれており、いただいたパンフレットから「三嶋」「ヤシマ」は判読することができた。本来の行基図にはなかったはずで午後の研究会とも関わってこれらの情報が意味するところは興味深い。研究会のほうは文献史は一人だけだったが夜の飲み会まで参加していろいろな方とお話しすることができて、ようやく少しは心が晴れる。