wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大谷大学博物館『親鸞真宗開顕』

最近水曜日は文書閲覧に向かわず非常勤先の図書館で過ごすことが多くなっているが、本日もそのコースをたどる。その前に寄った博物館展示について簡単に紹介http://www.otani.ac.jp/news/nab3mq000001xken.html。スペースの関係でものは20点ほどだが出ているのは何れも優品。なかでも興味を惹かれたのが東京報恩寺蔵「善信聖人親鸞伝絵」の鳥部野での荼毘場面、石塔・人骨が散在する区画されたスペースで荼毘がおこなわれ(「延仁寺之五三昧所」と注記)、外側に犬神人二名が描かれているのはなかなか興味深い。昨年の大規模展覧会でも思ったことだが、中世に描かれた親鸞伝絵が多数現存しているにもかかわらず、きっちりしたカラー版で見ることができるのはごく僅か。どこかで全ての写真を収集して図像の対比をしてくれないものか(あわせて聖徳太子絵伝も)。鳥部野といえば、図書館でコピーした大山喬平「非人・遊女そして京女ー中世都市民衆の生活論理ー」(『歴史の広場』14、大谷大学日本史の会、2011年11月)は大変面白い。文献目録でタイトルを見て内容の想像がつかなかったのだが、今度公刊される金光寺文書・すでに刊行されていたもの(不勉強で全く知らなかった)を再調査した「蓮如上人子守歌」は、何れも超一級の史料。前者は今度の日本史研究会に並びそうなので、大枚をはたいて購入するべきか。それにしても著者の旺盛な研究意欲には感嘆するばかり。こちらも見習わなければならないのだが・・・。