wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

2023年度確定申告

いつものように書きかけたのだが、源泉徴収票が給与8枚・雑所得8枚もあり、電子申請に変更(昨年春に日和ってマイナンバーカードを取得していた)。手続きそのものは思ったより簡単で、1時間ちょいで仕上げて提出。順当に行けば10万円以上の所得税が還付される予定。改めて確認してみると、3月で姫路を退職したものの9月まではそこそこの稼ぎがあったため、昨年度と比べて1割も減少していなかった。ただ結構出かけたこともあり、収支はトントン。国保も今年度から大きな減額は望めず、いよいよやばくなるのは来年度からか・・・。

青野利彦『冷戦史』(上)

昨日読了した電車読書の備忘。今年度の講義には間に合わなかったが、来年に向けて購入していたもの。上巻264頁は、イデオロギー国家としての米ソの登場と世界大戦から説き起こして、キューバ危機とケネディ暗殺・フルシチョフ失脚まで。わかりやすい筆致で米ソのみならず、西欧諸国・中国・第三世界などの様々なアクターの動向を踏まえて最新の研究状況を紹介しながら説明されており有益。途中でベヴィンが主語として話が展開されており、あわてて何頁か戻ると英外相で、アメリカが孤立主義を捨てて欧州へのコミットを進める上で、大きな役割を果たしたとのこと。英仏の植民地帝国維持路線と「自由」をすすめるアメリカとの微妙な関係が、その後も含めて重要なファクターになっていることが理解できた。欲を言えば新しい図表が欲しかったところだが。なおソ連が対日占領管理機構より、ルーマニアブルガリアを優先したのは、下斗米伸夫説によりウランから説明していたのだが、本書でも言及がなく気になるところ。

冷戦史(上) -青野利彦 著|新書|中央公論新社

兵庫県立博物館「古銭・古札を楽しむ‐館蔵・寄託のコレクションから‐」

引き続き研究会会場で開催されていた展覧会について。担当学芸員にはお目にかかれなかったが、関係者によると日本だけでなく世界の貨幣のコレクションが寄贈されていたとのことで、それについての初の本格的な展示。中世に関しても渡来銭・模鋳銭・琉球銭など盛りだくさんで、明治の札に神話上の存在以外に、鍛冶屋・水兵などの図像があることや、昭和19年発行の楠公5銭札などは初めて知った。それ以外に県下の藩札・旗本札・寺社札・鉱山札・町村札・私人札など大量に並んでいるのも圧巻(主要部分は一括購入資料とのこと)。なお展示担当者が中世史ということもあってウブな文書も2点あり。現在通用貨幣以外は撮影可能で、16頁のカラー・リーフレットが無料配布。

開館40周年記念企画展「古銭・古札を楽しむ―館蔵・寄託のコレクションから―」 | 展示会情報 | 兵庫県立歴史博物館:兵庫県教育委員会

兵庫県立考古博物館「福田片岡遺跡‐中世の道と物流‐」

本日、研究会に出かけるついでに観覧。発掘調査自体はかなり前で、このタイミングで企画された理由は不明だが、弥生中期から江戸以降まで9期にわたる変遷と出土遺物が展示。最盛期はⅦ期の室町前期で、「鵤荘絵図」に描かれた筑紫大道の延長線上に、鎌倉初期の井戸を埋めて道が造られたことが明確になり、それをはさんで多数の掘立柱建物が検出。中国産・常滑備前なども出土している。遺跡を林田川をまたいだ地名が誉田町広山、拙稿で触れたように14世紀後半には将軍が滞在する「弘山御所」が維持されており、嘉吉の乱の際の着到も弘山で行われている。図録はないが遺跡の変遷を記したカラー・パンフレットが配布。

冬季企画展「福田片岡遺跡-中世の道と物流-」 | 兵庫県立 考古博物館

竹沢尚一郎『ホモ・サピエンスの宗教史』

昨日までお出かけ3日間で約10万歩。諸事情で内容には触れないが、お供にした表題書を帰路の最寄り駅直前で読了したので、紹介しておく。宗教の起源を集団での儀礼・祝祭と捉え、人類の起源。狩猟採集民段階でのアニミズム。農耕民と牧畜民による儀礼の体系の成立。諸勢力を統合した国家が政治と経済を一元的に統合する古代文明の成立と対応した多神教古代文明と解体という動揺のなかで既存宗教の儀礼主義を批判し世俗からの分離を徹底させた世界宗教としてのキリスト教・仏教。聖職者の仲介を排除し純粋な形態を求めた宗教改革が、世界宗教が誕生する以前の古い儀礼の体系を批判したことでむしろ宗教の死を準備し、主権国家体制・資本主義をもたらしたとする。1951年生まれの著者は全共闘に共鳴して紛争後の東大に入学、つまらなくて数年ドロップアウトした後に宗教学に進み、パリの社会科学高等研究院で文化人類学から理論研究という経歴。特に前半のノハリ批判と、儀礼・祝祭から立ち上げる方法論は豊富な事例をもとしたもので興味深く読んだが、後半の歴史研究になると結局ヨーロッパ中心的で、何だかなあというのが率直な感想。

ホモ・サピエンスの宗教史 -竹沢尚一郎 著|全集・その他|中央公論新社

貴志俊彦・石橋悠人・石井香江編『情報・通信・メディアの歴史を考える』

明日から遠出ということで、電車読書の残りを片付け。秋の割引販売の際に、非常勤先との関係でタイトルのみで購入していたもの。石橋論文が19世紀の通信網の拡大とグリニッジ標準時の成立について。石井論文が同じ「見えない労働」の一方で、ジェンダー化された女性の電話交換手・男性の通信技師の職場環境、さらにコラムとしてコールセンターを取りあげ。貴志論文が戦前日本の画像通信技術と検閲について扱い。最後に高校教員を交えた質疑応答で構成。こういった技術史は全くなのでいろいろ勉強になり、松前重義が工学畑だったというのも初めて知った。ただいまさらABCD包囲陣かというのと、有効な図版がなかった(汪兆銘の漫画風のフォトレタッチは興味深いのだが、少し荒すぎる)のは残念。

《いまを知る、現代を考える 山川歴史講座》情報・通信・メディアの歴史を考える | 山川出版社

ひょうご歴史文化フォーラム「瀬戸内の海人と水軍‐古代・中世の淡路・阿波・紀伊‐」

当方も登壇することになった企画。いまのところ以前に報告書に執筆したものに、沼島の資料調査成果を加えたものになる予定。

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